高齢者の閉じこもり

◇高齢者の閉じこもり◇

高齢者の特徴
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高齢になると心身共に少しずつ変化します。

体の変化としては運動機能が低下し、視覚、聴覚、臭覚、味覚なども低下します。

疲れやすくなったり、色々な疾患が出てきたり、

反射神経が鈍ったり、頻尿、尿漏れや涙もろくなったり、

物忘れがひどくなったりと、以前の自分に比べてさまざまな変化が表れてきます。


これは誰しも高齢者になると起こる自然な現象なのですが、

今まで自分でできたことが出来なくなるので、大きな不安を感じます。

頭脳の面では、人の名前が思い出せなかったり物忘れが多くなったりしります。


このようなことから、人とのお付き合いや外出が億劫になり勝ちです。

いわゆる「閉じこもり」になりやすく、

閉じこもりが長く続くと、いろいろな障害が出てきます。

チェンマイに住むロングステイヤーは高齢者が大多数を占めています。

気候も良く住みやすい地に来たのに言葉も分からず、

環境が大きく変わったことから

社会との接触が億劫になってしまう人もいます。

いろんな意味で恵まれたこの地で元気で生き生きと過ごすためには、

自分自身が積極的に社会とのかかわりをもつことが大切です。

自分自身も、周囲の仲間たちも、高齢者の閉じこもりの原因やデメリットを

理解し、閉じこもりにならないように気をつけなければなりません。


閉じこもりとは
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寝たきりでもないのに自宅からほとんど出ず、

外出の頻度が週に一回以下の状態を「閉じこもり」と言うのが普通です。


よく似た言葉に「引きこもり」がありますが、

引きこもりは思春期前後から40代あたりの人が学校や仕事に行かない状態を言います。


高齢者のコミュニケーション
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高齢者になると、脳が老化するので認知機能が低下します。

そのため、問題処理能力や反応の速さ、

記銘力(きめいりょく)―人や物の名前などを記憶し、思い出す力―などが低下するのが普通です。

一方、知識力や理念は保たれているのが普通です。


また、物事を論理的に考えるよりも印象などで判断する場合が多くなります。

コミュニケーションの面では、話に流暢さがなくなったり、

話の焦点がずれていったり、何度も同じ話を繰り返すようになります。

こうしたことは、多少の差こそあれ高齢者に共通の特徴と割り切って、

本人も周りの人たちもあまり気にかけないことが大切です。

このことをお互いが理解して、友人や社会とのコミュニケーションを保てるようにしましょう。



高齢者のこころ
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高齢になると、高齢者独特の心身の変化によって精神的な変化が起こりがちです。

自信喪失、愚痴、心配症、不安症や、急に他人に頼るようになったり、

孤独感から誰も信用できなくなったりします。

また、自己中心的な考え方がひどくなったり、短気になったり、

新しいことが受け入れられなくなったり、自分の価値観を人に押し付けたりします。

このような特徴は、もともとその人が持つ性格ではなく、

高齢になった故の変化であることをお互いに理解し、

いたわり合ってお付き合いしないと孤立し、閉じこもりの誘因になります。


閉じこもりの原因
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閉じこもりになる原因は様々です。

老化による体力の低下や疾患のため、外出ができにくくなったという場合が多いのです。

具体的な原因としては「」鬱」「認知症」「運動機能低下」「口腔機能低下」などが挙げられます。

それらが相乗的に影響しているケースがほとんどです。

その他、以前転倒した経験のある高齢者などは転ぶことを回避するために家にいるという人もいます。

散歩や運動の意識の低い人も家に閉じこもりがちになります。

また、配偶者や今まで仲良くしていた友人が亡くなったことで、

気分が落ちこんで家から出なくなったり、

「生きがい」になるものを持っていなかったり、うつ傾向にある人などが閉じこもりになります。

家族がいる人などは、特に外出しなくても問題なく生活が成り立つ場合もありますし、

独り暮らしでも近所のコンビニや食堂で用が足りますので、

ほとんど外出せずに生活できてしまいます。

こうした環境も「閉じこもり」の誘因になります。


体は元気だけれども耳が遠いということで、回りの人とコミュニケーションが取れない、

あるいは視力が衰えて人の顔が判別できないといった理由で外出しないという人もいます。


社会と関わらなくても生活できることから、

社会と関わることが面倒であると考え出すと、閉じこもりになりがちです。

人間関係がうまくいかず、

他人と顔を合わせたくないために閉じこもってしまうケースもあります。

閉じこもりは、高齢者自身の意思で、

そのような社会と関わらない生活をしている場合が多いのです。


閉じこもりの予防
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閉じこもりを防ぐには、

積極的に社会と接触しようという心構えが何よりも大切です。

体に特別な支障がない人は、好きなスポーツをするのも良いでしょう。

支障があっても、出来る運動があります。

体を動かすことによって気分も変わり、積極的な思考ができるようになります。


何か趣味があれば、趣味の仲間に入るのも良いでしょう。

幸い、チェンマイには様々なスポーツや趣味を楽しんでいるグループが沢山あります。

ゴルフをはじめ卓球、バドミントン、パーク・ゴルフ、ソフトボール、

社交ダンス、コーラス、タイ語や英語の学校、囲碁、その他いろいろです。

CLL、定住者集いの会などの会に入って、気の合う友人を作るのも良いでしょう。

そうしたグループは、いつでも仲間に入ることをまっていて歓迎してくれます。


閉じこもりのリスク
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日本のある自治体の調査では、閉じこもりの高齢者の3割が、

1年後に寝たきりになるというデータがあります。

最初は閉じこもりがちであったのが、

やがて完全な閉じこもりになり、

気づいたら要支援、要介護になっていて、

ついに死亡に至ったという割合が、閉じこもりでない高齢者に比べて高いのが現状です。

閉じこもりが高齢者の健康に及ぼす影響は無視できません。


「鬱」ウツと閉じこもり
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欝 ウツ になると、気分がしずんで、何かと不安になり、誰とも関わりたくなくなります。

外出は好まず、家に閉じこもってじっとしていたり、

家族とも話しをしなくなったりして、閉じこもりになりやすいのです。

逆に、何らかの原因で長期間閉じこもり状態になっていると

人や社会との交流がなくなり、会話やコミュニケーションをしなくなって、

どんどん気分が落ち込んできて鬱傾向になるという人もいます。

欝は、心が風邪をひいた状態と言えるでしょう。

本人だけではなく、周りの人がおかしいと気付いたら、

スポーツや旅行などをして気持ちをきりかえるようにしましょう。

病院で相談するのも決して恥ずかしことではありません。


認知症と閉じこもり
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社会と積極的に関わっていこうとせず、家に閉じこもりがちな人は

認知症になりやすいというデータがあります。

厚生労働省のマニュアルでは「社会との交わり」の大切さを強調し、

社会との交わりを持ってもらうことが目的であり、

その結果、閉じこもりや認知症が予防できると書いています。


認知症になると、

家族は徘徊して行方不明になったり、周りに迷惑をかけるなどの

心配があるため、外出させようとしません。

目の届く家の中でずっといるように家族が管理している場合があります。

高度の認知症になると、家族では対処しきれないようになります。

閉じこもりにならないようにすることは、

認知症の予防のために重要なことです。


運動機能の低下と閉じこもり
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運動機能が低下すると、家に閉じこもってしまいがちです。

歩くことが辛くなってきたり、視力が落ちて見えにくい、

耳が聞こえにくい、尿漏れが起きるとなると、

外出することに自信がなくなってしまいます。

家族がいても、体の不自由な高齢者に長時間付き添うということは、なかなか難しいものです。

高齢者にしてみても家族に迷惑をかけたくないという気持ちから、

外出したくても遠慮して言い出しにくいという気持ちもあります。


高齢者の外出が減ると家族の負担は減りますが、

家に閉じ込めておくと運動機能が下がっていくので、

健康状態が悪化していくパターンが多いのです。

本人が興味を示すようなショッピングや催しなどに誘い出すことが大切です。



低栄養と閉じこもり
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高齢になるとどうしても食が細くなります。

よほど栄養面やカロリー面を注意しないと

栄養が足りなくなったり、エネルギー不足になります。

このような栄養不足の状態を「低栄養」といいます。


低栄養になると元気がでません。

元気がないと家に閉じこもりがちになり、運動機能がどんどん低下してくるのです。

運動機能が低下してくると

益々運動をしなくなり、食欲もなく、気力もなくなって、

家でじっとして閉じこもりになるという、まさに悪循環に陥る危険性があります。


同居者がいる場合はまだいいのですが、独り暮らしとなると事態は深刻です。

食事は楽しんで食べれば食欲も出ますが、独りでの食事はそれだけで食欲が落ちます。

一人暮らしの人はつい面倒になり、簡単な食事で済ましてしまいがちです。

出来るだけ友人や知人と一緒に、楽しく食事をするように心がけましょう。


低栄養にならないよう、外出して食材を自分で買ってきたり、

自分で調理をして、バランスの良い食事を摂るようにしましょう、



口腔機能の低下と閉じこもり
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虫歯や抜け歯など、口腔機能が低下すると、食事が食べにくくなくなりますし、

発音しにくくなり話しづらくなります。楽しく食事が出来ず、人と上手く話せ

ない、見た目が悪い、といったことがストレスとなって、家に閉じこもりがちになります。


閉じこもりがちになると歯磨きなどのケアもだんだん億劫になり、

生活が雑になってきて、運動機能も低下してしまいます。

口腔機能の低下を軽視せずに、すぐに歯科医に行って相談し、処置してもらいましょう。



閉じこもり予防のための習慣
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じっと家にいる閉じこもりを続けると、健康寿命を縮め、やがて要介護状態になります。

家族にとって、家にいるということは安心です。

しかし、それは本人の社会とのかかわりを阻害することになります。


1 規則正しい生活をする
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毎日決まった時間に起きる、決まった時間に寝るということは非常に大切です。

同時に、栄養のバランスの摂れた食事を3食きちんと食べることが重要です。

出来るだけ質のよい睡眠を取るようにしましょう。 

高齢者は不眠を訴える人が多いのですが、あまり気にし過ぎるのも良くありません。

若い時よりも少ない睡眠時間で足りていることが多いのです。

家族がいるならば、一緒に会話をしながら楽しんで食事をすると、食欲も湧きます。

一人暮らしの人は、食事を面倒と考えずに、栄養を考えて決まった時間に3度の食事を摂りましょう。

また、友人と会食の機会を増やすなど、

できるだけ他の人と一緒に楽しんで食事をするように心がけましょう。


2 体を積極的に動かす
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運動が苦手な人も、特別な運動は必要ありません。

一日一回外に出て散歩したり、 

元気な方はスポーツの仲間に入り、定期的に運動すると良いでしょう。

チェンマイにはゴルフ、バドミントン、パーク・ゴルフ、卓球、社交ダンスなど、

さまざまなスポーツを楽しんでいるグループがあります。

スポーツを通じて新しい仲間を作ることもできますので、

閉じこもり対策に最適と言えるでしょう。


持病のある方は、無理をせず自分のペースで運動しましょう。

また、水分補給などに充分気をつけることもお忘れなく。


3 家事をする
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家事をすべて奥さんやメーバーンに頼るのもいけません。

誰でも少しは出来ることがあるはずです。

特に男性などははじめから自分には家事はできないと決めつけてしまって、

全く動こうとしないという人もいますが、これは良くありません。


女性でも若いときは難なくできた家事が負担になり、メーバーンに頼ってしまうことがあります。

自分の出来る範囲で、家事をすすんでしましょう。

洗濯や掃除などは運動機能向上に繋がりますし、料理はメニューを考えたり、

買い物に行ったり、手先を使って調理したり、手順を考えながら作るので

脳の活性化にも繋がります。

男性も、料理は女性の仕事と考えずに、やってみると楽しいものです。

庭仕事や畑仕事が出来る環境にある人は、

野菜や花を作ると生きがいになりますし、

人に差し上げたりすることでコミュニケーションツールにもなりますのでお勧めです。


4 趣味を持つ
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自分が大好きな興味のあることが1つあるだけで楽しく過ごせますし、

仲間が出来て社会コミュニケーションが取りやすくなります。

今までやりたかったことなどに挑戦する気持ちが大切です。


歳をとっても、新しいことにチャレンジすると気持ちが若返ります。

例えば、歴史が好きな人ならば友人を誘ってお寺や観光地巡りを楽しむのも良いでしょう。

絵や人形作りを始めるのも良いでしょう。

無趣味だから、と引っ込み思案にならずに、少しでも興味のあることに挑戦してみましょう。


5 役割を引き受ける
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また、自分の趣味や出来ることを利用して、社会貢献するのも閉じこもり予防には非常に有効です。

趣味や運動のグループなどで役割を引き受けるのも外出の機会が増え、

社会参加ができて閉じこもりの防止になります。

色々な仕事を引き受けるということは、何かと厄介なことや困難もあるとは思いますが、

それこそが生きがいに繋がりますので、マイナス面ばかりをみないで積極的に参加してみましょう。


参考文献;
kaigoc.com 厚生労働省、「閉じこもり予防・支援マニュアル」他
文責;よっちゃん


SCCニュース第8号より




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